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第3話 心の中
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第3話 心の中
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グレー・ワールド
第3話 心の中
猫分儀スミレ
Nekobungi Sumire
(ここは…どこだろう?)
「…教えてあげる。」
「こうして…」
「…………」
(メリッサ?)
(メリッサ?メリッサ?どこへ行ったの?)
(ぐっ!!)
(うぐっ!!)
(いやっ!)
(苦しいよ!)
(やめて…)
はっ
「何か面白い本は見つかったかいウィスティちゃん。」
「あ、はい、トーシェンさん。」
「あんたも大変だねぇメリッサちゃん。」
「そ、そんな事ないですよ!」
「ウィスティさんは一体何を探してるんですか?」
「あら、あんた知らなかったのかい。」
「ええ。」
「何でも、夢を見るそうだよ。」
「夢」
「そう。それが忘れちまった昔の記憶じゃないかって…」
「それで「夢」についての本を色々と読んでるのさ。」
「大変なんだなぁ…」
「何か良さそうなのはありましたか?」
「う〜ん……ん?」
(『絵筆を片手に失われた記憶を探る』…?)
(どんな本なのかな?)
フワッ
「文字が…!」
ドサッ
ブワッ
「!」
「あらま!」
「キャ──────!!」
「あんた!換気扇、換気扇!」
「ゲホッ」
「ゲホッ」
「いやいや、すまんかったねぇ。大丈夫かい?」
「え…は、はい。」
「でも、どうして?」
「不良品だったみたいだねぇ。時々あるんよ。」
「まっしろ…。」
「本の中身、なくなっちゃった…。」
「あー、しまった。」
「その本、今在庫がないみたいなんよ。申し訳ないねぇ…。」
「すぐに注文するから、待っててね。」
「あら、この本…」
「この本の著者のジョセフ・メノウって私の知ってる人です。直接訪ねて文句言ってみますよ。」
「そうかい、ならそうするといい。」
「でも、どうして文字が飛んで行ったりしたの?」
「ああ、ああいうのはインクの不出来で起こるんだ。」
「本に印刷された文字も、所詮は「記憶」だからね。」
「「記憶」というのは揮発性ですから。繋ぎ止めておく力というのが必要なんです。」
「???」
「オー、大戦の英雄よ!よく来た。」
「もう、その呼び方は止めてってば。」
「ハハ、ごめんごめん。そして、こちらが…」
「ウィスティです。」
「ジョセフ・メノウです。お久しぶりですね、殿下。」
「大きくなったなぁ。いくつになった?」
「14よ。私と同い年なんだから。」
「……そう、僕らは大戦で一緒に戦った仲間だった。」
「もう昔の話さ。今は剣じゃなく、絵筆を握るのが僕の仕事なんだ。」
「「大戦」って何の事ですか?」
「クネノマヤとアミトエナが戦った戦争のことだ。」
「アミトエナ?」
「そう。クネノマヤと対をなす国、アミトエナ。」
「数年前、アミトエナの軍が我が国に侵攻。激しい戦闘が何年も続いた。」
「それで……どうなったんですか?」
「もちろん、我々の勝利に終わったよ。メリッサの活躍によってアミトエナの入り口は封印され、脅威は去った。」
「さて、本題だが………」
「イメージを膨らませることは、心の中の風景を見ること。自分の内面を覗くことなんだ。」
「己の心に潜り込む。深い、深いところへと降下していく。」
「絵を描く人だけじゃないよ。人はみんな、それを無意識におこなってるんだ。」
「ある特別な場所に行った時にね。その場所とは…」
「夢!」
「その通り。君はきっと、無意識に自分の心に潜り、記憶の断片に出会ったんだ。」
「でも今は、ウィスティ。意識して、降りてみよう。君が夢で行った場所へ。」
「夢下に広がる大空に…」
「メリッサ?」
「…一つ教えてあげる。」
「こうして…」
「こう!」
くるっ
「これが、あ……」
ドン ドン ドン
ビクッ!
「なんだ、せっかくうまくいってたのに。」
ドン ドンッ
「はいはい、今行きますよ。」
ドン ドン
「うるさいなー今開けるってば。」
「これ、私ですか?」
「うん。」
ドン ドン
ガン ガン
「!?」
バ────ン
「わ──!!」
ドシッ ドシッ
「貴様ら、何者だ!」
「あ、お前は…!」
「あれがエイリアスか。」
「だな。」
「周りのスプライトに気をつけて。危険な相手だ。」
「メリッサ、殿下を!」
「はい!」
「コゴイ・ウロイエ!鎧よ動け!」
「ウィスティ様をお守りしろ!」
「ギギッ」
「ギギッ」
「ギッ」
ゴゴゴゴゴゴ
「行くぞ!」
「よし!」
シュッ
パシッ
「ウィスティ様、逃げましょう!」
「は、はい!」
「さぁ、こっちへ!」
「!?」
「あの絵の中へ!」
「大丈夫。敵はすぐには入ってこれませんから。」
「???」
「!!」
「なぜ…!?」
「こっちです、ウィスティ様!」
「彼女らがこの絵の向こうに…」
「ちくしょう、どうなってんだ!」
「また絵が…。」
「この中へ!」
「一体どうなってるの!?」
「大戦時代、非常時のために絵の中に脱出口を作ったんです。」
「!」
「大丈夫ですか?」
「うん。」
ゴオオオオオオオオオオオオオ
「さぁ、行きま…」
「ぬっ」
ドン
「ウィスティ様、下がっていて下さい。」
「は、はい!」
バンッ
ガン ガン
ガンッ
「ウィスティ様!」
ガッ ガツッ
ガシッ
「私に力をお貸し下さい!」
(メリッサ…!)
ギギッ
ぐ
ぐぐぐぐ
「ニヤ」
バッ!
「!!」
「ハッ!」
バシッ!!
「いっ…」
ヨロッ…
「!?」
(メリッサが…二人?!)
ガッ
「ぐっ!」
ギッ ギッ
ギチッ
「ウィスティ様!」
オロ オロ
(なんで?なんで…?)
ぐぐ ぐぐ
「ウィスティ様、ダメ!!」
バッ
「ああ!」
ゴン
ドカ!
「ぐはっ!」
「メリッサ!」
「は!」
「…!」
「ウィスティ様!」
「キャッ!」
「ウィスティ様!」
ダッ
「ウィスティ様ー!!」
「ゴーッ」
「ゴーッ」
「うりゃ!!」
「ハ!」
スタッ
「エドワード!」
「よし、行こう!」
「ロボット、鎧を破壊しろ!」
「ゴー」
ドゴォ!
「エイリアスを回収!」
「させるか!!」
ドカ
「わ───!!」
ゴーッ!
「………。」
「キャ────!!」
ガシッ
「さぁ、逃げるぞ!」
「はぁ、はぁ…」
「!!」
「ウィスティ様!」
「ウィスティ様!」
「ウィスティ様…!」
ヨロヨロ
「メリッサー!助けてー!」
(…………)
「おおっ、成功したか!」
「全く、大した想像力だよ。」
「こんなに苦労させられるとはな。」
「ウィスティちゃん。久しぶりだね、会えて嬉しいよ。」
「!?」
「もっとも、君は私の事など覚えていないだろうが。」
「ポートを開こう。」
「ピッ」
「ピッ」
ドン
「…ごめんね、ウィスティ。」
ゴオオオオオオオ
「いっ…」
「イヤ…!」
「イヤ─────ッ!!」
バババババ
「!」
「わ!」
ズドドドドドドドド
「何だ!?」
「うわ───!!」
ズズズズ
「ゴー」
「!」
ズズズ
トン
「助かった。」
ドドドドド
「何だこれは!」
「わからん!とにかくポートへ!」
「ウィスティ様ー!!」
「む…」
「追っ手が来るぞ!」
「くそ!行こう!」
ズズズズ
「ロボットがまだ…」
「ダメだ、もうあきらめよう!」
「ゴー」
ズズズズズズ
バキ
バシ
(…………)
「ウィスティ様!」
「メリッサ!」
「ああ、ご無事で良かった!」
ぎゅっ
「ぐふっ」
「この地割れ…ウィスティ様が?」
「さ、さぁ…」
「ゴ…」
「ゴ…」
「見ろ!」
「!」
「機械の体から文字が…」
「複雑な機械も、呪文の組み合わせに過ぎないってことですよ。」
「ちっ、近づいて平気か?」
「もう死んでいる。大丈夫だろう。」
「不思議な機械だ…。まるで生き物だな。」
「溶けていく…文字になって。」
「こんな怪物を、言の葉で作り上げるとはね。奴らは一体…。」
(あれ、この文字…)
「アルファベットだ!」
「ウィスティ様、この文字を見た事があるんですか?」
「う、うん。…あれ?」
「奴ら、アミトエナ人だろうか?」
「いや…あんな連中は見た事がない。」
(とうとう全部溶けてなくなってしまった…)
(さっきの女の人……メリッサと瓜二つだった。)
(あの人は一体…)
つづく
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