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第5話 夢見るお姫様
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第5話 夢見るお姫様
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「ウィスティ」
(ぐっ)
(うぐっ)
(やめて…)
(やめて…!)
グレー・ワールド
第5話 夢見るお姫様
猫分儀スミレ
Nekobungi Sumire
(………)
「…あ!?」
「ウィスティ様、おはようござ…あ、あれ?!」
「メリッサ、この人…」
「ええ」
「あなたのお父様です。」
「もしかして、お父様のことを思い出されたのでは?」
「うん、多分…」
「そうか、それは良かった!」
「きっと記憶が戻りつつあることで、屋敷の復元時に欠けた部分が回復してきてるんですよ!」
「やったじゃないですか!おめでとうございます♪」
「あ、あはは…」
『前日…』
「私、覚えてるよ…この手。」
「あなたが…メリッサがずっと昔から友達だったこと…覚えてるよ。」
「でも、それ以外のことは何も思い出せない…。」
「それに、どうしてメリッサだけが先に大人になっちゃったのかもわからない…」
「話してあげる…全部。私たちの間に何が起こったのか。」
「私たちは……あなたを助け出すため、外の世界からやってきた…」
「外の、世界…?どういうこと?」
「よく聞いて、ウィスティ。」
「あなたは今、夢を見ているの。」
「今、あなたが見ているこの空も、この野原も…」
「「クネノマヤの国」も…」
「この世界は全て、あなたの夢なの。」
「あなたの本当の名前は、ウィステリア。」
「ウィステリア・マクロード。」
「じっ」
「冗談言わないで!全く意味が…」
「ウィスティ」
「冗談なんかじゃないよ…。」
「あなたは忘れてるでしょうけど…」
「あの雨の日、あなたは自殺をしようとした。」
「自殺!」
「私が?」
「一命は取り留めたけど、あなたはずっと眠ったまま…目を覚ますことはなかった。」
「もう何年も前のことなんだよ…。その間、私は大きくなったけど…」
「夢の中のあなたはあの時の姿のまま…」
「それから…あなたのお父さんのことを話してあげる。」
「クネノマヤ国王の…」
「いいえ、その人じゃない。」
「あなたのお父さん…マクロードさんは、科学者だった。」
「お父さんは、人の脳の仕組みについて研究していた。」
「彼の最大の発明…それは、眠っている人の夢の中に第三者の意識を送り込むことが出来る機械だった。」
「本当のあなたは今眠っている。眠っていて、夢を見ている。」
「そして、私たちはあなたのお父さんの発明を使ってここに来た。夢の中のあなたに会うためにね。」
「夢に潜り込み、悪夢に捕われた人々を救い出すのが私たちの任務……」
「そんなこと、とても………」
「…とても、信じられない。そうだよね…。」
「でも、私の言った事は全部ほんと…」
「おねがいウィスティ。私と一緒に来て。そうすればきっとわかる。」
「や、やだよ…それに、ここには悪夢なんてないもん。」
「クネノマヤは平和で、楽しい所だもん…。」
「それについては私たちもよくわからない…」
「どうして、あなたが良い夢から目覚められないのか…」
「…………………………。」
「!?」
「…あなたの、ここには傷があった。」
「傷、そんなものは私にはない!」
「夢の中のあなたは記憶喪失になってるの。あなたや私たちの知らない所で何か…」
「嘘よ、嘘!あなたの話は嘘!」
「ここは夢の世界なんかじゃないし、私の名前はウィステリアなんかじゃない!」
「ご、ごめん…あなたを怖がらせるつもりじゃ…」
「出て行って!!」
「わかった、わかったよ…」
「…また来る。」
『…………。』
(あの人が言ったことは本当なのだろうか?)
(このクネノマヤも、ここに住む人も…通りを道行く人々も、みんな私の夢なのだろうか?)
(私が目を覚ませば、泡になって消えてしまう存在なのだろうか?)
ガチャ
「お待たせしました、ウィスティ様。」
ぞろぞろ
「今回の探検に同行いたします、メンバーです。」
「メノウさん!」
「やぁ、ウィスティちゃん」
「メノウさんはご存知でしたね。そしてこちら…」
「科学省で大臣をしております…アレクサンダー・ネクアータです。」
「は、はじめまして。」
「昨日、ウィスティ様が発見されたのは長年その行方が不明となっていた「地下大迷宮」への入り口です。」
「どうして今回急に見つかったのかまだ不明ですが…」
「この探索により、必ずや多くの謎を解きあ…」
「大変です!」
「目を離した隙に入り口がなくなって…」
「一体、どういうことだ?!」
「さっきまでこのへんにあったはずなんですが…」
ズズ
ズズズ ズズ
ドン
「王家の人間がいないと扉が現れない…そういう仕組か。」
「何、これ」
「出発前の記念ですよ♪」
パシャ
「では、写真も撮り終えたことだし、いざ出発!」
「さすが大迷宮と言うだけあって広いな…」
「もう市外にいるんじゃない?」
「また封印付きの扉ですね。」
「ウィスティ様!」
「はい!」
「チェノイミ…」
(こんなに封印が多いと殿下抜きでは探索は続行不可能になるな…)
「さ、開きましたよ。」
ガチャ
ゴウ
「うわっ!」
「ここは…」
「死の谷じゃないか!」
「こんな所に通じる出口が迷宮にあったとは…」
「「死の谷」?」
「ええ。」
「ここはクネノマヤ市のはるか西方…」
「その奥底が「死の国」へ繋がっているとされる谷です。」
「とにかく、こっちは行き止まりのようですね。」
「他の道を探しましょう。」
「もうだいぶ深いところまで降りてきたな。」
「疲れた。」
「迷ったりしてないでしょうね?」
「大丈夫ですよ。ちゃんと地図を描いておりますので。」
「次の部屋へ進みますよ。」
ガラッ
ヒュッ
「わぁ!」
「大丈夫ですか!?」
「いたい」
「どうやら、階段が崩れていたようですね。」
「しかし、これは大発見ですよ。我々は大部屋を見つけたようで…」
「キャ!」
ドサッ
「ほぐわっ!」
「あ…あーっ す、すいません!」
「……」
ガバッ
「何のこれしき!私は平気です!」
「お怪我はありませんか大臣どの!」
「大丈夫っぽいよ彼は」
(これは…)
「…?」
カチャ
「ウィスティ様?」
「え?」
「ピキッ」
「ビシッ」
「バキバキ」
「迷ったりしてないよね?」
「大丈夫だよ。僕のナビプログラムを信じなよ。」
ゴゴゴゴゴゴ
「!」
「!?」
ズズズズズズズ
ドドドドド
「ウィスティ様!」
「!!」
ドゴゴゴゴゴゴゴゴ
「ゴアアアアアア」
ズズ…
ガラッ
「あっ」
「ミッ」
「ト」
「えっ?」
「…ナの怪物だ!!」
「ウィ、ウィ、ウィスティ様!私の後ろに隠れ…」
ガアアアアア
「キャー!!」
「ウィスティ様!」
ドカ
「ぐぎゃ!」
「ぶっ」
ズン
ドスン
ズン
ズン
「ボトカ!落ち着け!」
「ギャーッ」
「ワーッ」
「ア、ア、ア、アミトエナの怪物め!クネノマヤ国務大臣の力っ、思い知れ!」
「リカマゲナウイ!!」
グオッ
「いけ!」
ゴン
ガン
「効いてないぞアレックス!もっと大き…」
ゴッ
ドサ
「あ、しまった。」
ぐしゃ
「はぁ」
「はぁ」
「ウィスティ様!」
「ゴオアアアア」
「キャー!!」
ビュッ
バシュッ
ビッ
「ガオオオ」
「!」
「「悪夢」が出現した!戦闘だ!」
「エイリアスを守れ!」
「よけろ!」
ドッ
ゴロゴロ
ダッ
バシュッ
「でぇい!」
ズバッ
「ゴオアアア」
「こっちだ!」
ドッ
「!」
「キャ!」
ドス
ドス
「ウィスティ!!」
ドス
「ぐはっ」
「だめだ、とても歯が立たな…」
グオ
バコッ
ゴロ ゴロ ゴロ
グググ…
「はぁ」
「はぁ」
「……!!」
「!」
「ククッ」
「キキッ」
「ガ…ガガガア」
バシッ
ブシュ
ドス ドス
「ググ」
「ゲ…」
ズボ───ン
シュルルル
カン
「…!」
「メリッサ…!」
「ウィスティ様!」
「う…」
「うーん」
「!?」
「………」
「みなさん、生きてますかー…」
「つーッ…」
「なんとか全員生存してます…」
つづく
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