全8章 R-12 2011-2016 完結済

アリス・シャーロック:ルビー色の星雲

第6章 目を開ける覚悟が君にはあるか?

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​CHAPITRE VI

​“ÊTES-VOUS PRÊT À OUVRIR LES YEUX ?”

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​……アリスか。

​……ジョニー。

​私は……降りる。

​………………

​……わかった。

​別にいいさ。元々、お前に
近付いたのは警察に探りを
入れるためだったんだ。

​六課が絡んでいると
分かった今は……もう
その必要も無くなった。

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​あんな無線機は何の証拠にも
ならん。六課なら警察用の
装備も調達出来るだろうしな。

​お前の助けは要らない。
俺は一人でも戦えるからな。

​……………。

​……今まで
危険な目に遭わせて
すまなかったな。

​ジョニー、私……

​もう会うこともない
だろう。元気でな。

​……………。

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​……いつもそうだった。

​正義のヒーローに憧れて……
口では冒険がしたいと言いながら……

​自分からは何も行動を
起こそうとしてこなかった。

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​そのくせ、いざ本当に
危険が迫った時は
怯えるばかりで……

​慌てふためいて、
でも結局
何も出来なくて……。

​肝心な場面では
逃げることしか
頭に無かった。

​人を守るどころか、
感情に任せて人を傷つける
ことしか出来なくて……

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​卑怯で……

​臆病で……

​私には初めから
無かったんだ。

​ヒーローになる
資格なんて……。

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​おっす。
何してんの?

​あ……
タバサ?

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​……で、どうなのよ?
捜査の方は。

​あ、ああ……
まぁね。

​……でしょうねぇ。
鑑識ももうお手上げ状態よ。
何にも見つからないんだもん。

​認めたくないけど、
流石はアーセニウスね。

​…………。

​あ、そうそう。
マジで最低な事が
あってぇ。

​え、何?

​ほら、あの日
博物館で採取した
恐竜の骨の欠片。

​よく調べたら骨じゃなくて、
間違って普通の石か何かを
持って帰っちゃってたのよ!

​あー……
そりゃうっかり
だったね。

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​お前は骨と石ころの区別も
付かないのか!って
チーフには呆れられるし。

​もう最悪よ。
まぁ、一応解析には
使ったけど……

​あははは……

​は……

​あんなもの、ただの
石ころじゃないか。

​何の価値も
ありゃしない。

​ひょっとして
あの恐竜は……

​まさか、
アーセニウス達は
気付いて……?

​いや……

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​そんな事を考えて
いても仕方ない。

​私はもう捜査を
降りたんだ。

​私には何の
関係も……

​ん?
な、何?

​鳥‼︎

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​いきなり
何すんの⁉︎

​あ……ごめん。
つい条件反射で……

​これだから
猫は……

​……ん?

​オット、コリャ
マズイ。

​ツカマッタラ、
オワリダ。

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​ジョニーの鳥!

​こんな所に
いたのか……!

​と、とにかく
捕まえなきゃ……

​ああ、でも……

​もうジョニー達に
関わるわけには……

​そうだ……あんな鳥を
追いかける事に
何の意味がある。

​子供みたいに
ヒーローぶるのは
おしまいにしなきゃ。

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​お巡りさん、あの鳥は
是非見つけてください!
頼みます!

​…………。

​……くっ。

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​ア、アリス⁉︎

​何を迷ってるんだ私は。
ジョニーの奴は
困っていたじゃないか!

​警察官が
困った市民を助けて
何が悪い!

​逃がさないぞ!

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​今度こそ……!

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​……………。

​ボス、出発準備が
出来ました。
いつでも発てます。

​……わかった。

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​私ももう少ししたら
戻るから……
うん、それじゃ。

​……どうにも
落ち着かない。

​ふん。きっと
少し緊張して
るんだ。

​もうすぐこの
街を出るんだ
から。

​そう、もうこんな鬱陶しい街
とはおさらばして、別の街で
別の仕事をするんだ。

​色んな土地で……
色んな偽名を使い分けてきた。
正体を隠すために。

​他にも大勢いるんでしょ?
“二人だけの秘密” を
共有している女の子は。

​そうだ……
何を気に病む
必要が?

​あんな女、どうせ
二度と会わないつもり
だったじゃない。

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​やっぱり嘘をついてる。

​嘘?

​当然じゃない。
全ては秘密を
守るため……

​仕事のために
必要なんだもの。

​君の事など、初めから
愛してなんかいない。

​騙して従わせようと
しただけだ。

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​必要な事……。

​……………。

​………あの女は、
一体いつから……

​……最後に一応、
謝りに行ってやっても
いいかな……。

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​………ん?

​なんだ?なんか
埋まってる……

​鳥カゴのような
形の物が……?

​丁度いい!
あれを拾って
あの鳥を……!

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​ウルフォーゲルのオーブ
の台座!
なぜこんな所に⁉︎

​ええい、考えてる
暇はないぞ。
やるっきゃない!

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​うおおおおおお‼︎

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24ページ目

​ミセルワケニハ!

​コノ キミツ
ショルイ!

​ふふ、ついに捕まえた。
早速、署に戻って
返還の手続きを……

​いや、待てよ。

​こんなびしょ濡れで
戻ったら、またあいつに
なんて小言を言われるか……

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​一旦、家に帰るか……

​最近水に濡れて
ばっかだな。

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​オット、コリャ
マズイ。

​コノ キミツ
ショルイ……

​同じ台詞の繰り返し……
やっぱり知能はない
ただのペットなのか。

​ツカマッタラ、
オワリダ。

​もう捕まってる
だろ!

​階段を登る音……

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​もしや、マリーが
戻ってきたのでは?

​部屋の前で
止まった……

​そんな馬鹿な……
いや、まさか……

​そうだ、やっぱり……
マリー……!

​マリー………!

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​あ……

​あ……

​……あああっ‼︎

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​はい、
まいどあり!

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​いまお釣りを
出しますねー。

​……………。

​何、こっちは
今いそが……

​ああ、ボス!
大変です!

​監視対象の女性が
さっき自宅に帰ってきて、
その直後に……

​……え?

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​恐竜学者が
この光景を見たら
卒倒するわね!

​あんな無線機は何の証拠にも
ならん。六課なら警察用の
装備も調達出来るだろうしな。

​予告声明を受け取ったのは、先月
サザークにオープンしたばかりの
「ティラミス恐竜博物館」で……

​六課が絡んでいると
分かった今は……もう
その必要も無くなった。

​こんなの
馬鹿馬鹿しい噂話だろ?
笑っちゃうよな……

​同じ映像を外部の警備会社
にも送信し、24時間体制で
監視していたのです。

​どうやら警察内部に
犯人一味に手を貸している
者がいるらしいんだ。

​ああ、どうぞ捨ててくれ。
この状況じゃむしろ
好都合ってもんだ。

​ああ。恐らく
警察か病院の記録を
盗み見たんだろう。

​どんなおかしな与太話でも、
それを信じる人がいる限り
危険な事に変わりはない。

​人にはそれぞれに適した役割
ってものがあると思いますよ。
慣れない事はしないで下さい。

​あれはねぇ、
人工ルビーなんだよ。

​あんなもの、ただの
石ころじゃないか。

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​セキュリティは完璧だと
思っていたものですから。

​出来ればこの件は
内々に済ませたかった
のだが……

​予告された犯行時刻は
今夜で、警察は既に博物館
周辺に緊急配備を……

​多少の事では動じ
なくなるのですよ。

​あのジジイ、根は小心者
なんだぜ。こんな大袈裟な
金庫まで作らせちゃってさ。

​いざ金庫を開ける時は
決まって大勢のお客様が
お越しになるんですよ。

​警察のご厄介になる
とは、大事になって
しまいましたなぁ。

​おや。そういう能力は
泥棒ばかりじゃなくて
刑事にも必要だと思うが?

​アーセニウスは十年ほど前から
欧州各国に出没している犯罪者ですが、
正体は未だ謎に包まれており……

​ウルフォーゲルのオーブの
本来の持ち主だ。

​それも名のある方ばかり。
警察署長や政府高官、
軍上層部のご友人も……

​お前は骨と石ころの区別も
付かないのか!って
チーフには呆れられるし。

​そういうことか。
やっぱりあの魚は……

​うちらの連れに何か
ご用ですかいのぉ。

​でも早く捕まえ
ないと、大変な
ことに……。

​車や航空機に噛み付き
車体に偽の信号を流して
操縦を乗っとるんだ。

​アーセニウス……
来てくれたんだね。

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​………………、
………………。

​………………。

​ああ、まさか
再び動き出すとは……

​……モニタして
いて良かったぜ。

​大空を飛び回る鳥は
自由の象徴じゃないか。

​アーセニウスからオーブを
横取りするつもりなんだ。

​マリー、
愛してるの。

​行かないで。

​マリー。

​ずっと一緒に……

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​ん………

​あ…………
あれ…………

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​お、やっと目が
覚めたようだな。

​な…………?

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​ようこそ、俺達の
アジトへ。

​アリス・シャーロック
巡査部長。

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​うわっ、
酷いな……

​家捜しの後
だな。

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​………………。

​アーセニウス!

​わっ!
何だ?

​あの
オウムだ!

​ここに居たお前の仲間は
俺達が預かっている。

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​彼女に死んでほしくなければ、
ウルフォーゲルのオーブを持って……

​バンクサイド発電所跡に来い。
一人でな……。

​奴め、あの鳥に
伝言を吹き込んで
いったんだ。

​ヤバいですよ、
ボス!

​ここも危険かも
しれません!
早く逃げましょう!

​何してるんですか、
ボス! 急いでこの
街を出ないと……

​え、ええ……。

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​これまでか……

​アリス、すまない……。

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​ここはバンクサイドの
発電所だな。ずっと昔に
閉鎖された……

​ああ、そうだ。
よく分かったな。

​こんな所を
根城に暗躍
していたとは……

​あ、ボス!

​ボス……?

​そこにいるのか?
こいつらの
ボスとやらが……

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​ご指示の通りに
準備を整えました。

​後は待つ
だけで……

​どうも、また会いましたね。

​いいえ、見なくても
分かっていますよ。
あなたが誰なのか。

​…………。

​あなたが黒幕
だったんでしょう?
そう……

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​マイク・ティラミス館長。

​驚いた。
どうして私だと
気付いたのかね?

​あなたの正体だけでなく
これまでの悪事も企みも
全て分かってます。

​ほほう……
刑事さんの推理を
お聞かせ願いたいね。

​ええ、随分周りくどい
計画を立ててくれたもんです。
あのルビー玉一つのためにね。

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​何だと?

​あのオーブは
見張られていた。

​普段は頑丈な金庫に入れられ、
警報機は警察署に直結……
普通に考えて盗むのは不可能。

​金庫は滅多に開けない上、
開ける時は必ず客が来る……
しかも普通の客ではない。

​それも名のある方ばかり。
警察署長や政府高官、
軍上層部のご友人も……

​なぜ政府の関係者が
わざわざ宝石なんかを
見物しに集まるのか?

​政府も薄々、あのオーブに
何か重要な秘密が隠されている
事に気付いていたんです。

​……やがて様々な勢力が
オーブの秘密を巡って
水面下で動くことになった。

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​もし誰かが勝手にオーブを
持ち出し、秘密の情報を
解析でもしたら大変………

​抜け駆けをさせないために
毎回複数の関係者が集まり
お互いを牽制し合った。

​オーブは高度に政治的な存在になり、
もはや持ち主のザッハトルテ自身を
含め、誰も手出しが出来なくなった。

​でも、あんたは知恵を絞った。
オーブを手に入れるには
どうすればいいか……。

​……………。

​そして打ち出した奇策……
それが恐竜博物館だった。

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​あんたは博物館を新設し、その
オープン記念の展示にするという
名目でオーブを借りる事にした。

​でも、本物の恐竜の骨格を
調達してくるには
膨大な費用と手間が掛かる……

​だから造り物の骨格を
用意してきて、偽の博物館を
でっち上げたんだ。

​鑑識官が教えてくれましたよ。
骨だと思って持ち帰った物が
ただの石ころだったと……。

​はっはっはっ。
何を言い出すのかと
思えば……

​化石に足りない箇所を
模造品で補完するのは
一般的な事だよ。

​一つ偽物の骨があったからと
行って、骨格全てが偽物
だと証明した事にはならん。

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​もちろん、他にも
証拠はありますよ。

​それが、あの博物館の
不自然なまでに偏った
セキュリティ体制です。

​何だと?

​オーブ一つのために
何台も監視カメラを設置
していた一方で……

​なぜか恐竜の骨格を
見張っているモニタは
一つも無かった。

​それもそのはず……
見張る価値のある物など
他には無かったんです。

​!……

​そして、あの時
警備室であんたが
言っていた言葉……

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​同じ映像を外部の警備会社
にも送信し、24時間体制で
監視していたのです。

​映像が外部送信されているなら
回線を盗聴するか、
警備会社をハッキングすれば
第三者も同じ映像を観られる。

​政府関係者はそれで納得し、
オーブの一般公開には
反対しなかったのでしょう。

​各勢力が映像を通じてオーブを
監視するなら、誰かにオーブの
情報を解析される心配はない。

​でも、実はそれすら
あんたの策略の一部
だった。

​映像を流した
真の目的はオーブを
守る事ではなく……

​自分自身に疑いが
掛からないように……

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​わざとカメラの前で
別の誰かにオーブを
盗ませる事だった。

​例えば、そう……
アーセニウス一味に。

​急ごしらえの博物館に
模造品の恐竜……彼らは罠だと
気付いていたでしょうが……

​結果的に目立ちたがりの
劇場型犯罪者を挑発する
事には成功した。

​もちろん、むざむざオーブを
くれてやるつもりはない。
後で取り戻すために……

​オーブには追跡装置が
仕掛けられていた。

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​恐らく、ザッハトルテ邸からの
運搬中の隙を狙って……
台座のパーツの中に発信機を……

​オーブそのものは紛れもない
本物だから、アーセニウスは
装置には気付かない。

​大まかな流れはこうでしょう。
まず盗みの現場を
カメラに目撃させ……

​一旦アーセニウスを泳がせた後、
発信機からの信号を元に
一味の逃走先を特定……

​アーセニウスを殺し、
オーブは秘密裏に回収。

​他の勢力が血眼になって
アーセニウスを探している間に
じっくりオーブを解析する……。

54ページ目

​アーセニウスはまんまと
あんたの仕掛けた罠に
飛び込んできた。

​けれど、当日になって
予定外の事が起きた。

​アーセニウスは恐竜を爆破し、
爆煙で監視カメラの目を塞いで
しまった。

​決定的瞬間が映らなければ
自分のアリバイが
崩れかねない……

​裏をかかれて焦ったあんたは
更に大きなミスを犯した。

55ページ目

​オーブを載せた飛行船を
ミサイルでハッキングし、
強引に捕獲しようとした。

​でも乗組員が抵抗したため
ミサイルは爆発してしまい、
飛行船は橋の上に墜落……

​挙句に追跡装置の存在にも
気付かれてしまった。

​乗組員は咄嗟にオーブの
台座だけを取り外して
川に捨て、逃亡……

​結局、オーブは本当に
「行方不明」に
なってしまった。

56ページ目

​でも、あなたの部下は
追跡装置のモニタを諦めては
いなかったんですね。

​だから今日になって台座を
拾った途端に私は拉致された。
当たってますか?

​ふん……さ、さっきから
聞いていれば発信機だの
ハッキングだの……

​まるでスパイ映画の
小道具のような物ばかり
登場するが。

​私たちが一体どこから
そんな物を調達したと
言うのかね?

​確かに、ただの
一般人の寄せ集め
なら不可能ですね。

​あなた方自身が情報六課の
局員か何かでなければ
出来ない話でしょう。

57ページ目

​乗り物に噛み付いて
コントロールする魚、
六課の秘密兵器……

​コッドミサイルの存在は
五課のジョニー捜査官が
教えてくれました。

​そちらの御二人が
同じミサイルで私とジョニーを
殺そうとした時にね。

​お前ら……
ジェームズを殺そうと
したのか……?

​は、はい……

58ページ目

​六課の秘密兵器に
ついて知っている
男をその兵器で……

​局内に犯人が居ますと
宣伝してやったような
もんじゃないか!

​ジョ、ジョニーの奴
ザッハトルテの屋敷を
嗅ぎ回ってたんで……

​万が一オーブを
先に見つけられたら
まずいと思って……

​まぁ、いい。
ジェームズもそのうち
始末してやるわ。

​だが、お前さんの推理には
まだ肝心な部分が欠けているぞ。

​なぜあなた自身が誰かの
手先ではなく、首謀者だと
分かったか……でしょ?

​ザッハトルテが糸を
引いている可能性も
考えましたが……

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​彼ならわざわざロンドンに
博物館を作らせなくても
自宅に罠を敷けたはずです。

​古い屋敷を期間限定で一般公開
するのは税金対策にもなるので
近年はよく行われています。

​でも一番の決め手は……
あなたの手下が全員
「犬」だったことです。

​……………。

​あなた方「犬族」は
徒党を組んで動くのが
好きな生き物だ。

​手下が犬で固められているなら
首謀者も当然……
そう考えるのが自然でしょう。

60ページ目

​はっ……最後の一つは
何となく差別的で
気に食わんが、まぁいい。

​全てお前の言う通りだ。

​私は情報六課の局員として
内外の同胞たちを集め、
このグループを作った。

​あの恐竜の骨格は
六課の工作班が
用意してくれた物だよ。

​政府の機関の一員として
国を守ってきたあんたが
どうしてこんな事を……

​私たちの守るべき国は
今のこの国ではない
事に気付いたからだ!

61ページ目

​人間やライオンのような
支配階級には上れず……
猫のように数の優位もない。

​昔から私たちのような
力なき種族は虐げられ、
搾取されてきた。

​ウルフォーゲルのオーブに隠された
大量破壊兵器、それを独占すれば
私たちの種族は力を持てる!

​我々はこの島を
犬族の王国にするのだ!

​汚らわしい暴力主義者め。
お前の妄想など何一つ
実現するものか。

​お前ら犬どもの
好きにはさせないぞ。
この動物!

62ページ目

​クソ生意気な女め。
だが威張っていられる
のも今のうちだ。

​私たちが目的もなく
お前を連れてきたと
思うかね?

​お前を人質に
アーセニウスを
呼び出してある。

​アーセニウスは
義に厚い男だという噂。

​仲間が捕まったと
知れば必ず助けに
来るだろう……

​オーブを持って
のこのこやって来た所を
とっ捕まえてやる。

63ページ目

​ふっ……
ふふふふ。

​何だ?
何がおかしい?

​私を助けに来るですって?
全く、見当違いも甚だしい。

​私はアーセニウスの仲間でも
何でもないんです。
全くの無関係ですよ。

​今更しらばっくれるな。
だったらなぜ警察署ではなく
自宅に台座を持ち帰った?

​…………。

​大方、一度捨てた台座が
やっぱり欲しくなって
探しに戻ったのだろう。

​アーセニウスめ、
首都警察に内通者を
忍ばせていたとはな。

64ページ目

​はは、私なんて
彼本人に会った事すら
ありませんよ。

​私が唯一接触したのは
一味の中の………いいえ、
それももう終わった話です。

​………?

​彼女のことだって……
結局、最後まで何も
知ることは出来なかった。

​彼女の名前も……
髪の色も……

​何をわけのわからん
事を言っとる。
ま、どうでもよいわ。

​お前ら、警戒を怠るなよ。

​はい、ボス。

65ページ目

​そうだ、今はもう何の関係も……

66ページ目

​当分この街には
戻れないな。

​この国には、
だろ……。

​とにかく空港に
行かないと。

​無事に出国
出来ると
いいんだが……。

​…………退院したらちゃんと
返しに来てよね。例の荷物と
引き換えだ。

67ページ目

​………ありがとう。
なるべく早く元気になって、
これを返しに行くよ。

​ずっとこれを取り上げた
ままじゃ、君のお子さんが
可哀想だからね。

​…………。
…し……けど……。

​え?

​子供なんか
いないし……

​そのDVDも
私のなんだけど……

​くくくっ。
あははははっ。

68ページ目

​ちょっと、
笑わないでよ!

​いや、すまない。
悪気はないんだ。

​…………………
……私はアリス。

​アリス・シャーロック。

​あなたの名前は?

​あの時……

69ページ目

​どうして、私はあの時……

​………マリー。

​本名なんて、
教えてしまったんだろう。

70ページ目

​ボス、今何か
言いました?

​……………

​……………めて。

​はい?

​車を止めて‼︎

71ページ目

​ボス、一体
何事で……

72ページ目

​ううむ、遅い。
アーセニウスめ、
一体何をしている。

​ボス、どうします。
もしこのまま奴が
現れなければ……

​ふん、そうなったら
見せしめにその女を
バラしてやるだけよ。

​まぁ、
もう少しだけ
待ってみよう。

​……馬鹿馬鹿しい。
こんなのは
時間の無駄だ。

​誰も来るはずがない。
ここに連れて来られた時点で
私の命運は決まっている……

​さっさと殺せば
いいものを……。

73ページ目

​来よったな……。

74ページ目

75ページ目

​はははっ。
とうとう現れたな。

76ページ目

​アーセニウス!

​アーセニウス⁉︎

77ページ目

​マリー……!

​TO BE CONTINUED...