全12話予定 R-15 

フェリスマンの国

連載途中のエピソード (10 / 42 ページ完成)

第2話 不安定な世界

1ページ目

(1コマ目:空に浮かぶ険しい色をした雲。)

第2話

不安定な世界

(2コマ目:人猫の顔のアップ。閉じた目を徐々に開く。)

(3コマ目:眼前に広がる空模様は、朝焼けなのか、夕焼けなのかは分からない。)

(4コマ目:どうやら人猫は地面に寝転がっていたらしい。目を覚まし、真ん丸い目を大きく見開く。その白地に茶ブチの体毛には、横から陽の光が当たっている。)

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(1コマ目:むくりと起き上がる茶ブチの人猫。その身長は子供のように縮んでおり、全身真っ白でふわっとした服を着ている。周囲の地面は黒く、草一本生えていない。)

ここは……

(2コマ目:人猫が立ち上がると、周囲には見たこともない風景が広がっている。風が全くないためか、鏡のように平らになった水面に険しい色の空が映っている。水平線の彼方まで広がる海には起伏のない小島が点在している。茶ブチの人猫以外に人影はなく、辺りは不気味なほど静かだ。)

ここは
どこだ…?

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(1コマ目:辺りを歩く人猫。寒そうに腕を身体にまわしている。)

(2コマ目:キョロキョロと不安そうに周囲を見る人猫。)

母さん……?
父さん…?

誰か……
誰かいる?

(3コマ目:空を仰ぎ見る人猫の目に涙が浮かぶ。)

誰もいない
の…?

(4コマ目:突如、背後の水辺から声がする。)

ここに
いるよ。

(5コマ目:水辺に足を向けると、水面には自分の姿が写り込んでいる。)

こっちへ
おいで。

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(1コマ目:チュンチュンという鳥の声で目を覚ます人猫。そこは朝日が差し込む小さな寝室だった。茶ブチの人猫は大人の姿に戻っており、服は着ていない。同じベッドには、まだスヤスヤと寝ている新妻の姿も見える。ベッド脇の小さな台には卓上ランプと、結婚式で使われた小刀が置かれている。)

(2コマ目:上半身を起こし、左手で眠そうに目をこする人猫。)

今のは……
夢か……。

(3コマ目:小さな人間の両手が、騎士の制服を着た大きな人猫の首にネクタイを巻いている。)

今日から
新しい配属先に
初出勤ね。

(4コマ目:まだダンボール箱などが置かれている狭い玄関口。茶ブチの人猫と、それを見送る妻。)

自宅から通える
ことになって
本当に良かったわ。

君を一人残して
営内生活なんか
できないさ。

(5コマ目:手を握り、見つめ合う二人。)

今日も一日
頑張ってね、
私の騎士さま。

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(1コマ目:朝の光の中の総理大臣官邸の建物。)

(2コマ目:明るい廊下を歩くナオミの後ろ姿。その眼前には事務員のベルプルと白い人猫、いかつい目のライトグレーの騎士の姿が見える。)

おはよう
ございます。

おはよう
ございます、
警備部長。

(3コマ目:ナオミの制服の上腕や袖の部分には、以前と比べ模様が追加されている。また、パンツスタイルに変わっており、以前のようにスカートを履いてはいない。)

私が総理大臣官邸で
寝泊まりするようになって
数日が経った。

おはよう。

新しい制服、
お似合い
ですよ。

(4コマ目:小さな部屋の中。丸いテーブルを囲んだ大勢の人々でごった返している。ナオミなどの騎士、事務員、背広姿の人々など職種は様々だが、そのほとんどは人猫であり、人間の姿はナオミとベルプルしか見えない。何人かは手にメモ帳やクリップボードのようなものを持っている。)

閣議は9時から行われる
予定で、大臣の皆さまが
お越しになるのは……

(5コマ目:背広姿の白い人猫の話を黙って聞くナオミたち。)

早朝の日課──
官邸の上級スタッフが集まり
簡単なスケジュール確認。

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(1コマ目:ナオミを含む警備部員たちが見つめる中、つり目で目つきの悪いライトグレーの人猫が声を張っている。)

副部長(顔が怖い)を始めとする
警備部の古株たち……

(2コマ目:数人の人猫と、それに埋もれているベルプル。)

あとは事務方、執事、
総理の秘書官などだ。

(3コマ目:朝日に照らされ逆光となっている、中庭から見た官邸の内側。)

それが終わると、
南の中庭で警備部の
朝礼がある。

(4コマ目:何人かの警備部員姿の人猫がヒソヒソと談笑している。)

警備部員、
全員注目!

(5コマ目:警備部員の中に、あの茶ブチの人猫が混じっていた。その丸い目が声の方向を向く。)

(6コマ目:中庭に横に並んで立つナオミや副部長たちの眼前に、大勢の制服姿の警備部員が整列し、一様にナオミを見つめている。)

あー…今日が
初日の者も多いから
改めて自己紹介
しておく。

警備部長の
カザモーラだ。

総理を守る盾となるべく
官邸に詰める騎士の数は
およそ120人──

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(1コマ目:警備部員の一部がざわつき始める。)

あれが
部長…?

人間だぞ、
どういう
ことだ?

(2コマ目:後方にいた茶ブチの人猫は、まん丸い目を半月状にしながら難しい顔で上官の方向を睨んでいる。)

………。

(3コマ目:廊下を歩くナオミの後ろから、困り顔で声を掛けるベルプル。呼び止められたナオミも、心底嫌そうな顔をしている。)

ナオミさん、
あの……

(4コマ目:ドアが解放された部屋の入り口に立つナオミ。その足元には枕やぬいぐるみが散乱している。)

──その総理はと言うと、
いつものように朝から
スタッフを困らせている。

(5コマ目:怒り顔でズカズカと室内に入っていくナオミ。そこは総理大臣の寝室だった。大きなベッドの上ではサンドラが布団を被ったまま、うつ伏せに枕に顔を突っ込んでいる。寝室の出口からは、ベルプルと執事の人猫がこっそり中を覗き込んでいる。)

総理、朝です!
起きてください!

…うう、
うるさい…

(6コマ目:動かないサンドラの掛け布団を怒りの形相で強引にひっぺがすナオミ。)

出て行け。
今日は誰とも
会わん。

今日は
閣議の日で
しょうが‼︎

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(1コマ目:ナオミが見下ろす先で、寝巻き姿の総理大臣がうつ伏せになり、眠そうな目で警備部長を睨んでいる。)

他の大臣方に
あなたは欠席する
と伝えますか⁉︎

お前か…

(2コマ目:ナオミの叱責に、いやそうに目を閉じるサンドラ。その顔はなぜか少し赤らんでいる。)

総理!

あー、もう
分かったよ。

(3コマ目:けだるそうに上半身を起こすサンドラ。しかめっ面のナオミから目を背けるように顔をうなだれている。)

分かったから
私の前から
消えろ。

朝からお前の
顔など見たく
ない。

私だって
好きで見せに
来てるんじゃ
ない!

(4コマ目:横目にナオミを睨みつける寝起きのサンドラと、ベッドから去っていくナオミ。)

ったく、
なぜ私が
こんな…

(5コマ目:ナオミが部屋から出てくると、廊下ではベルプルと屋敷の使用人数人が待ち構えていた。)

ナオミさん、
いつも
助かります!

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(1コマ目:怒り顔のナオミの前に受け答えする、居心地悪そうなベルプル執事。その後ろにはメイド二人も並んでいる。)

総理を起こすのは
私の仕事では
ありません!

だって寝起きの
総理ってなんか
怖くって…

ねー。

これは絶対
日課には
したくない。

(2コマ目:屋敷の玄関。黒いスーツの人猫たちがぞろぞろと入ってくる。)

(3コマ目:ガヤガヤと賑やかな室内。大きなロングテーブルに並べられた四角い長椅子に、スーツの人猫たちが次々に着席していく。)

(4コマ目:テーブルの上にはそれぞれの席に資料らしき紙束が置かれている。部屋の入り口からドレス姿の人間が入ってくると、人猫たちがそれに注目する。)

おはよう。
皆揃っているな。

おはようございます、
ベテグラース総理。

(5コマ目:サンドラが長椅子の一つに腰を下ろすとギシっと音がする。)

では、本日の
閣議を始める。

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(1コマ目:自分の席の前に置いてあった紙束を手に取り、周囲を見渡しながら微笑むサンドラ。)

諸君、いよいよだ。
我々タンポポ党政権の
本格始動の時だぞ。

(2コマ目:オホン!とわざとらしく咳払いをしたのは、サンドラの左手に座っていた白い眉毛、白い体毛の老人猫だった。)

(3コマ目:老人猫の行動に少したじろぐサンドラ。)

失礼。
連立政権の…
だったな。

(4コマ目:得意げに腕を組む老人猫に、たちまち部屋中の視線が集まり、苛立ちをあらわにする。)

私たちスイレン党
あっての政権なの
だということを
お忘れなく。

うるせぇ、
ジジイ。

議会の過半数獲得の
人数合わせのくせに
偉そうだぞ。

(5コマ目:思わず立ち上がる老人猫に、なおも食い下がる若い人猫。慌ててたしなめるのは、サンドラの右手に座っていたとぼけ顔だ。)

何を⁉︎

よりにもよって
副総理の椅子なんか
要求しやがって…

まぁ、まぁ。
みなさん
仲良く……

(6コマ目:老人猫こと副総理の顔のアップ。)

諸君らタンポポ党は
設立間もない
新政党に過ぎない。

連載途中のエピソード (10 / 42 ページ完成)

第2話 不安定な世界
最終更新: 12月9日
完成率: 23.8%
直近の平均執筆速度: 1.9日/ページ
残りページ数: 32ページ
完成予想日: 2月9日ごろ
Episode 2: Unstable World
Last updated: 9th December
Progress: 23.8%
Recent average making speed: 1.9 days/page
Remaining pages: 32 pages
Estimated completion date: Around 9th February