全14話 R-15 2006-2011 完結済

グレー・ワールド

第13話 家族

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グレー・ワールド

第13話 家族

猫分儀スミレ

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起きて。

起きてください。

う…ん…

船は港に着きましたよ。
降りて下さい。

おお、そうじゃ。お嬢ちゃんは
ここで降りるんじゃったな。

ほれ、早く行かんと
船が出ちまうよ。

???

クネノマヤ港
クネノマヤ港に着きました

お降りの方はお早めに
お願いいたします

ああ…また、忘れて
しまうところだった。

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ティム。

会いたかった…。

お姉さん…

いけない。早く
この船を降りるんだ。

そうだよ、ティムも
一緒に行こう。

ううん…僕は
降りられない。

ど、どうして?
なんでダメなの?

よく聞いて、
お姉さん。

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この船は、三つの世界を
行き来する旅客船。

僕やお姉さんがいた世界、
クネノマヤの国、そして…

この船の次の行き先は、死の国。

僕はこれに乗って、そこへ
行かなきゃならない。

なら、私も
一緒に…

だめだ!

お姉さんは、
ここで船を
降りるんだ!

僕はもう道を選べない。
でも、お姉さんは違う。
まだ引き返せるんだよ。

生の国でも死の国でもない
中間地点……それがこの
クネノマヤなんだ。

ティム……

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ここで降りて、そして
戻るんだ。お姉さんが
いるべき場所へ。

出来ないよ…あなたを、
一人で行かせるなんて…。

いいんだよ、
そんなの…。

だから、ね?

でも、もう
だめなんだよ。

私には……

さぁ、行って……。

でも………。

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……………

夢………

陛下!

目が覚め
ましたか!

ここは…?

クネノマヤです。
無事に戻ってこ
られたんですよ。

あ、急に動かないで
下さいね。今ドクターが…

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わっ!

メリッサ!

大丈夫、気絶して
いるだけですよ!

………。

メリッサ……。

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お前は一つの
選択を終えた。
二つの国の一つが
消えたのニャ。

…全部、あなたは知っていたんですね。
私の過去を。あの雨の日…のことを。

ま、そうかもニャ。

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彼女のことも
知っていますか。

お前の心の中にいるメリッサ…。
お前が認識しているメリッサ自身。

彼女は、ずっと私の
側にいてくれました。
私の家来として。

お前は心の底では
彼女の気持ちに
気付いていた……

昔からニャ。
だからお前の心は
守られてきた。

そうだ。全て忘れていい…って
言ってくれたのも、あなただったね。

あのとき私を救ってくれた。

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でも、違ったんだ。
そうじゃなかった。

私の影の部分を、
彼女は知らなかった。

彼女に見せたくなかった…
自分でも見ようとしなかった
鏡の中の自分。私の過去。

本当の私は…彼女に
救われる価値なんて
ない人間だったんです。

私の家族は、みんな
死んでしまった。

最後の一人も、
私の手で殺した。
それに……

メリッサまで、同じ
ように殺してしまう
ところだった。

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彼女と一緒に
いることは出来ません。
だから……………

私は、あの時と
同じ選択をします。

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「いいのかい?これで。」

「はい、お父さん。お母さん。」

「今、二人のところへ行きます。」

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!?

今度は、間に合った…!

メリッサ、
どうして?
私は……

ダメだ!

ウィスティ、
死んじゃダメだ!

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私はメリッサが思っていたような
人間じゃないんだよ。なのに…

違う!

確かに、私は何も知らなかった。
あなたの過去を覗いたとき、
私は逃げ出してしまった。

でもね。全てを知っても私の
気持ちは変わらなかったんだ。

あなたがどんな人間でも
関係ない。私のウィスティ
だってことに変わりはないんだ。
私はあなたの側にいたい。

あなたを守るためなら
私は何でもする。今までも、
そしてこれからも!

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私はあなたを…

あなたのことを愛してる!

あなたの笑顔も、怒った顔も、
みんな、みんなウィスティなんだ。

全部、私の大好きな
ウィスティなんだ。

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あなたと共に生きていたい。
ずっと一緒にいたいんだ!

だから戻ろう…!

メリッサ。

ありがとう…。

私も、あなたの
ことが好き!

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大丈夫だよ、お姉さん。

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この港に、お姉さんを
待ってる人がいる。

迎えにきてくれる人が、
いるはずだから。