全14話 R-15 2006-2011 完結済

グレー・ワールド

第2話 言葉

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グレー・ワールド

第2話 言葉

猫分儀スミレ

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いやっ!

苦しいよ!

やめて…

夢?

うん。

夢は夢です。それに、もしそんな事が
あっても、私がお守りしますから。

ありがとう…。

ところで、さっきから
何を作ってるの?

朝食です。

こんな簡単なもの
しか出来ませんが…

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トマトスープです。

冷めないうちにどうぞ。

わーい、いただきまーす。

と…とても
おいしいよ。

よかった!

あれ、誰でしょう。

どなたで…あれ?
誰もいなーい。

メリッサ、そうやって人を
からかうのは止めなさい。

局長さん。

ウィスティ様の
記憶喪失につきまして、
呪文局からの通達です。
『クネノマヤ文士連盟規約
第62条E項により、能力
一時喪失者と見なし…』

要は、もう一度文士資格の
お勉強をしていただくという
形に。

えー!またあの
ばあさんが来るの?

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そういう決まりですから!
じゃ!

ああ、ちょ、
ちょっと!

ねぇメリッサ、
「文士」って何?

え?

文士っていうのは、呪文を
使える人のことです。
ウィスティ様もその一人で…
ていうか、先生が来たら
そういう話を嫌になるほど…

言葉の持つ本来の力を引きずり出すことで呪
文が魔法力として作用するのです。ですから、
呪文として発せられるものも元を辿れば全て
平文なのです。普通の文章を呪文として変換
する術はクネグラム変換と呼ばれ、旧来から
言霊の力に触れる方法として研究されて……

○X△◇∀♀‰※♪♬⦿◑▽●◓☂◎▼☖✓☎♯
⁂◑⏎♮♫☂◎▼☖@※❖▱⁂♡♀‰※……

……☀☁☃☂♫♬⁂……✓♯▽●◓〆♯⦿◎
♬………◒◑♮♀♭〆……▱♬☂⁂✓………

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ウィスティ様!

あなたのために
急ピッチで呪文論理を
やり直してるんですよ!

少しは集中して下さい!

すいません…。

どこまで行きましたかしら?
あ、そうそう。
○△●※♥♧◓▲◉❖⁂♯……

『相手に向かって、
 手をかざしつつ…』?

…モ・サ・ユ・イ

…であるから
して、その…

んあ……

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呪文っていうのは、ああやって
覚えるもんなんですよ!

そ、そうかな…

ウィスティ様の魔法力での
『睡眠呪文』なら、せいぜい
2〜3時間で目が覚めますよ。
心配しなくても大丈夫です。

うん…。

そうだ、私が他にも
呪文を教えてあげます!

え?

そうね。例えば…
『ウアキディカ』

意味は『岩砕き』…ね。
そのへんの石ころを砕く呪文です。

へー。

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ウアキディカ!

うわっ!

すごーい!

私に出来るのは
こんな事ばっかり
ですけど…

私はただの戦士ですから、
戦闘魔法以外の呪文はあまり
得意ではないんですよ。

そうなの?

それぞれの『役割』によって
必要とされる力は変わります。
その『権限』によって使える
呪文も限られてくるんです。

私の『役割』って、何?

あなたの役割は
この王国の
主であること。

あなたは、どんな魔法でも
何ら制限なく使えるのです。
それどころか、本気になれば
自然界に直接干渉する事も…

……

なんか、私が授業してるみたい
ですね。これじゃ、あの先生と
変わんないな。

あはは!

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でも、私がそんな
すごい人だなんて…

それが…王族って
ものなんですよ。

でもご安心下さい。

この国はとても平和です。
自分の『役割』を行使せず、
ただ流れに身を委ねて生きて
いくことも…出来ますから。

…………

ねえ、さっきの呪文って、
石なら何でも砕けるの?

ええ。石で出来た
ものなら何でも。

あの大きな岩は?

いや、あそこまで大きい
岩は難しいかと……

ウアキディカ!

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すっ…

わっ、ウィスティ様!

ん……

目が覚めましたか。

突然倒れられたので
驚きましたよ。

え…

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あ、あ、ご、ごめんなさい!

私……あー、あ…。

ダメですよ、
急に動いたりしちゃ。

くっ!

少し休まないと。

ごめん…。

いいえ。でも、ふふっ…
ウィスティ様はすごい。

子供のうちからあんな
強い力が出せるなんて…。

ウィスティ様は、
過去のどんな王様より
魔法力があるのかも…

メリッサ、私
疲れちゃった。

ふふ。
久しぶりに呪文を
使ったからですよ。

でもなんだろう…
とても幸せな気分…。

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もうしばらく、
こうしていたいな…

何者だ?

ウィスティを
渡してもらおう。

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メリッサ…

下がって
いて下さい。

素直に渡さなければ…
奪い取るまでだ。

どこから剣を!?

不届き者め。
返り討ちに
してくれる。

殿下には
指一本
触れさせん!

ぐっ!

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ヤッ!

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あっ!

うっ

くっ

キャッ!

メリッサ!

ウィスティ様!

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力を!私に力を下さい!

!?

どうすれば……あ!

そうだ…
メリッサ、頑張って!

ふぐぐ…

!?

ぐあ!

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!

…………

…………

!!

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ウアキディカ!

キャ──────!

く…くそ!

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あ、待て!

!?

メリッサー!

……

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……

…消えた。

今の…
一体…。

わかりません…。

ああ、メリッサ。
怪我はしてない?

ええ、私は
大丈夫。

ウィスティ様ー!!

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一番大怪我をしたのって
ガネジリさんなんじゃ…。

うるさいですね!

この国はずっと
平和だと思ってたのに…

防衛局の方では異常を
感知出来なかったそうで。

アミトエナからの
攻撃ではない、と。

私もてっきり、呪文で
破壊された岩を見つけた時は
アミトエナ人かと…

えと、それは
我々です…。

なんか、大変な事に
なっちゃったのかな…。

私が戻って
きたせい
なのかな…

あ!

どうしたんですか?
大声出して。

……。

呪文で眠らせた先生を
起こすの、忘れてた…。