全14話 R-15 2006-2011 完結済

グレー・ワールド

第9話 選択肢

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小さな炎が、
手の中で燃える…

指に力が入る…。
何かを強く…。

でも、なぜ?

なぜそんな感覚を知ってるの?

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グレー・ワールド

第9話 選択肢

猫分儀スミレ

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今日は、お一人?

ウィスティ。

メリッサ…。

その…この前はありがとう。
助けに…来てくれて。

いいんだよ、そんなの。

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…また失敗しちゃった。
私があなたを守る役だったのに。

私のために、あなたが
戦ってくれた。

そうだ、あなたに渡す物が。

地下迷宮で見つけたの。

……!

これは……

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外の世界で……あなたは、
それと同じ物を持ち歩いてた。

なぜ……
これを私に?

あなたにとって……
そのカッターは、とても
大切な物だった…。

そんな気が
するから。

…………。

メリッサ、私ね…

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アミトエナでのこと?

……うん。

どうしてあの時…
急に力が湧いたのか。
わからない。

だから…怖い。

ウィスティ…。

あの時の…感覚を…
なんて言ったらいいか…。

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私が知ってるはずがない。
でも、あの時確かに私は……。

恐ろしいんだ。自分の中に、
知らない自分がいることが。

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そんなに思い詰めないで。

あなたは、あなた以外の
何者でもない。

でも…

あなたは私の…ウィスティ。
それで十分なんだ。

…………。

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本当は…もう全部
捨ててしまいたい。

何もかもから
解放されて…

鳥のように、どこかへ
飛んでいってしまいたい。

……………。

教えて……あげようか?

え?

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目を閉じて…

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いい?この世界は、
全てあなたのもの。

私のもの?

この野原も…

あの森も…

空も、全て…
あなたの世界の一部。
コントロール出来る。

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この風を感じて…

空気の流れを…
空の息吹を…

風……

そう、えーっと…
風は空気の紐みたいなもので…

その中に、あなたがいる。

そうだ、風の動きが…

頭の中でイメージして。
紐を掴むの!引っ張って!

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持ち上げて!

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やった…!

うっ、浮いてる!

何だ、簡単なことじゃないか!

思いのままに…

風を操る!

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メリッサー!

ウィスティ!

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すごい!夢みたい…

そうだよ、だって…

ああ、そうか。

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なんだか外が
騒がしいですね。

全く、折角の
ティータイムが
だい…

あ…!

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あれは……

ですね…

「自然界を支配すること」…か。

どうやら
この国の王座は…

もう、空席では
なくなったらしい。

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ああ、なんて心地良いのだろう!
私たちを包み込む、この大気の温かさ。

風に乗って初めてわかる…。
それは空に溶けた記憶の流れ。

透明の中に感じる、豊かな色彩。
そして、透明の中に消えゆく色彩…

全ての悩みや悲しみが薄れ…
私たちの後ろに流れていく。

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あなたは…

また会ったニャ。

お前がここまで
来るのを待って
いたニャ。

これは…夢?

お前に、色々見せる
ものがあるニャ。

この場所は…

「記憶の倉庫」だニャ。

クネノマヤの連中は
「地下図書館」と
呼んでたかニャ?

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この下には…

地下大迷宮。

そう。そしてこの
通路の先には…。

死の谷…。

俺が今回見せた
かったもの……

……。

二つ目の
選択肢だニャ。

え…?

この下に、
何があるか
知ってるニャ?

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死の国…ですね。
どんな所なんですか?

どんな所か、だと?

ニャッハッハ!
バカだニャお前は。

…?

 いいか、「死の国」なんて国は…

ないのニャ。

…………

あなたは、一体
何者なの?

メニューだニャ!

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え?

ジュースにするのか、
紅茶にするのか、
コーヒーにするのか。

人生は選択
の連続ニャ。

やがてウェイターがやって来て
お前の注文を取るニャ。

あなたは…その
ウェイターさんですか?

いいや、違う。

俺はただの紙切れだニャ。

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私…選べません。
選択肢の意味が、よく…

ま、そうだろうニャ。

メインディッシュの前に、
スープを選ばないとニャ。

………

また会える日を
楽しみにしてるニャ。

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ん……

目が覚めた?

疲れて寝ちゃってたんだよ。

………。

メリッサ。私ね……
やらなきゃいけないことが
わかった…気がする。

え?

私、もう一度
アミトエナに行く。

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ちょっと、どういう
ことなのか説明して!

知らなきゃいけないの。

知る?知るって何を!?

…もう一つの
スープが、何なのか。

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一緒に…来てくれる?

…………………。

…ああ。私たちは、
どこまでも一緒だ!

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防衛省

メリッサ殿!事件です!

えっ?

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防衛局の警報で…

ワープホールの出現を
感知したようです!

まさか、アミトエナ人の襲来か?

いえ……どうやら、
クネノマヤ側から
開かれたようです。

何だって??

そんなはずはない!
「言の葉の器」の倉庫は
呪文局の管轄だ!

私がいなければ、
倉庫の扉は開け
られないはず…

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呪文局長殿…例の騒ぎを
ご存じないんですか?

は?

あの扉を開けられる
人物は……今は、もう
一人いらっしゃいます。

ウィスティ様……
クネノマヤ女王陛下です。